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序章

ファンテ(黄太=干しダラ、干しスケトウダラ、干しスケソウダラ)は厳しい吹雪と澄んだ春の風の中、干されたタラのことをいいます。



冬の夜には氷点下10度以下に下がる厳しい寒さにタラはすぐさま凍り付いてしまいます。昼間には暖かい日差しを浴び、凍ったタラが解けてきます。このように凍って解けてを繰り返し、ファンテが完成します。3、4ヶ月間この作業が続き、タラの身が黄色くなってくることから黄色いタラ(韓国語でタラをミョンテ=明太=といいます)ということでファンテ(黄太)という名前になりました。干し場では4月まで作業が続きます。



数万坪におよぶ広大な敷地に東海(トンへ)で漁獲してきたばかりのタラをさばいてずらっと干し乾かすファンテの干し場の中に入ってくると、江原道の山間部の冬の趣を身を持って感じることができます。



韓国国内のファンテの干し場がある名所としては大関嶺の麓の平昌郡大関嶺面(旧・道岩面)横渓里(フェンゲリ)一帯、陳富嶺に近い麟蹄郡北面龍垈里(ヨンデリ)、高城郡巨津港(コジンハン)周辺などがあります。



12月になると細い丸太を組んで干し場を作り1月初めから本格的にファンテ作りを始めます。ファンテを作る上で最も重要なのは冬の寒さと春の風です。タラが凍った状態を15日から20日間維持できて初めてファンテの形ができます。



韓国国内で最も有名なファンテの干し場がある村は大関嶺の西側、龍平スキー場の玄関口にあたる横渓里の松川(ソンチョン)付近です。陳富嶺の麓の龍垈里よりも早くここにファンテの干し場ができたのでファンテ村の元祖といえるでしょう。龍平スキー場の玄関口に当たる横渓のファンテの干し場は冬になると100万匹のファンテを天日干しします。小川に沿って広がる広大な丘陵地帯が一面ファンテの畑に変わります。昔は東海の海から運ばれてきた生のタラをこの松川で捌いていましたが、数年前から環境汚染の観点から、港町で捌いて綺麗にしてからここに運び込み、ここでは干す作業のみ行なっています。横渓里には1里から13里まで13つの村に分かれていますが、毎年、干し場を作るのは5里と8里の村だけで、それ以外の村は年によって干し場ができたりできなかったりします。干し場は20箇所程度できますが、タラの水揚げ量が減少し、かつ横渓一帯の道路や河川周辺が整備されてきたため干し場の面積も次第に減ってきています。



ファンテを作る過程で失敗してしまったものを地元では次のように呼んでいます。

寒すぎて白く変色してしまったものをペクテ(白太)、逆に暖かすぎて黒ずんでしまったものを墨のような色からモクテ(墨太)、ファンテの身が裂けてしまったものをパテ(破太)、頭の部分が取れてしまったものをムドゥテ(無頭太)といいます。

その中でもパテ(破太)やムドゥテ(無頭太)は、細長くちぎって手軽に料理が出来るようにしたファンテチェという名前で袋詰めにして売られています。最も良いとされているものは、やはりよく凍ってよく乾燥し黄味を帯びたファンテで、全体が楕円形をして肉厚のものです。



干し場の持ち主とファンテの持ち主がそれぞれ違う場合が多々ありますが、干し場の持ち主のことを干し場・トクチャンの主人(チュイン)ということで「トクチュ」、ファンテの持ち主をファンテの主人(チュイン)ということで「ファジュ」といいます。



横渓里へ運ばれてくるタラは大部分、東海の港町・注文津(チュムンジン)で捌かれ内臓など取り除き綺麗に洗った状態で運ばれ、干し棚にそのまま干すだけで済みます。注文津港では女性たちが夜も明けぬ午前2時からタラの加工作業にはいります。トラックに積む時刻は午前5時、横渓に到着するのが午前6時、それから午前11時まで干し棚にかける作業が続きます。干し棚に捌いたタラを掛ける作業は干し棚(トクテ)の上(韓国語でサンと発音)に掛けることからサンドクといいます。最終的に商品として出荷する段階でハギの木をファンテの鼻に通して何匹かを串刺しするような形にしますが、これをクァンテ(貫太)といい、その際つかわれるハギの木は同じ江原道で収穫してきたものを使っています。大きいファンテは10匹ずつ、小さなファンテは20匹ずつ串刺しにします。



横渓里でファンテの干し場が見学できてファンテも買うことができるところとしては横渓里の道路沿いで、ファンテを販売するお店が数多くあります。

ホームページ
平昌文化観光 http://jpn.pc.go.kr (日本語)

🗺 場所

江原道 平昌郡 大関嶺面 横渓里

🔎 情報

お問い合わせ・案内
大関嶺面住民センター +82-33-330-2779